えばーずらいん

時よ止まれ 君は誰よりも美しいから
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【感想】 銀翼のイカロス 


銀翼のイカロス銀翼のイカロス
(2014/08/01)
池井戸 潤

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半沢直樹シリーズもついに 4 作目。経営再建中の帝国航空の担当を任された半沢が、500億円もの債権放棄を要求する政府の再生タスクフォースと激突する。『今度の敵は巨大権力』と題されるだけあって、半沢が政治絡みの案件に立ち向かうが、それでもお馴染みの逆転劇は健在。また、今作では、これまであまりフォーカスされることのなかった中野渡頭取の心情も描写されており、そのあたりも非常に面白い。

政治には詳しくないので少し調べてみたところ、どうやら今作の大部分は実話に基づいているとされている模様。作中の帝国航空は経営破綻した JAL がモデルとなっており、新政権や再生タスクフォースは 2009 年 9 月の民主党への政権交代や JAL 再生タスクフォースをモデルとしていると考えるとしっくりくる(らしい)。

私は 2009 年というと時事には非常に疎かった時分のため、特にピンと来ることもなく読み進めることが出来たが、ピンと来た方々はどのように感じたのだろうか。もしかすると、あまりにもモデルが分かりすぎて面白くないなと思う方がいたかもしれないし、見方が偏りすぎて違和感を感じるのかもしれない。

ただ、作品のモデルがどうあれ、困難な状況にあっても自身の信念を強く持ち、相手が誰でも変わらない姿勢で職務に当たっていく半沢の姿は見ていて爽快で気持ちが良い。戦いに勝ち、生き抜いていくためには知識でも立場でもなく、知恵が必要である。しかし、それだけでは不十分で、逆境に負けない強い信念があるか。これが重要ではないかと感じた。何が正しいのかはさておき、小手先の処世術だけでなく、自身の仕事に本当に気持ちがあるか否か、それを少し考えさせられた。

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【感想】 ロスジェネの逆襲 


ロスジェネの逆襲ロスジェネの逆襲
(2012/06/28)
池井戸 潤

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伊勢島ホテルの一件の後、東京セントラル証券に出向となった半沢が、IT 企業の雄・電脳雑伎集団から同業である東京スパイラルに対する買収意向を伝えらる。しかし、大型買収のアドバイザー契約は大きなチャンス。だが、経験が浅い東京セントラル証券には荷が重く、買収スキーム構築の遅さから電脳雑技集団との契約は決裂となってしまう。しかし、交渉決裂の裏側には親会社・東京中央銀行の理不尽な横槍があった。そこで、責任を問われた半沢は、ロスジェネ世代(バブル崩壊後に社会に出た世代)の部下・森山と共に周囲を驚かせる秘策に打って出る。

オレたち花のバブル組の続編であり、俗に言う半沢直樹シリーズの 3 作目である。2 作目までを読んだ勢いに乗って 3 作目も読んでみたが、今作も気持ちの良い勧善懲悪で、半沢の倍返しは健在。やはりこのシリーズは、経済小説とは思えない熱さが面白い。

前作までよりも真相究明や逆転劇の勢いや締め方がストレートになり、個人的には熱さが分かりやすくて好き。つまり、栄転から一転、出向で終わった前の二作よりも、読後感は非常に良い。続きものなので当然と言えば当然なのだが、今作を読んだ後だと、前二作が今作のための序章の様な印象を受ける。

また、仕事や社会のあり方そのものに対する森山(若手の代表の様なイメージ)の疑問や葛藤と、それに答える様に描写される半沢の仕事に対する信念も熱くて好き。

『戦え、森山』
半沢は言った。
『そして、オレも戦う。
誰かが、そうやって戦っている以上、世の中は捨てたもんじゃない。
そう信じることが大切なんじゃないだろうか』


【感想】 オレたちバブル入行組・オレたち花のバブル組 


オレたちバブル入行組 (文春文庫)オレたちバブル入行組 (文春文庫)
(2007/12/06)
池井戸 潤

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オレたち花のバブル組 (文春文庫)オレたち花のバブル組 (文春文庫)
(2010/12/03)
池井戸 潤

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一昨年前にブームになった日曜劇場『半沢直樹』の原作ということで気になって手に取ってみた。TV ドラマは、バブル期入社の銀行マンを描いた経済ドラマという取っ付き難そうなテーマでありながら、アクション映画さながらに緊張感のある描写や胸のすく様な逆転劇などが面白かったですね。仕事にはクソ真面目で、私情を混同させた妨害等には『やられたらやり返す、倍返しだ!!』という半沢のスタンスは、現実的ではないものの、どこか共感や憧れの様なものを抱いた方も多いのではないでしょうか。

『オレたちバブル入行組』は、ドラマで言うところの第一部・大阪西支店編。東京中央銀行 大阪西支店で融資課長を務める半沢直樹が、上司である浅野匡に債権回収の責任を負わさるが、その経緯に疑念を抱いて真相を解き明かしつつも、確りと責務を果たしていくというもの。

『オレたち花のバブル組』は、ドラマでは第二部・東京本店編で、オレたちバブル入行組の続編。半沢が東京中央銀行本部 営業第二部次長に栄転した後の話。大口顧客であり 200 億もの融資がなされた伊勢島ホテルが、120 億もの株の運用損失をしてしまう。伊勢島ホテルの業績回復の目処をつけ、債権を回収しなければ東京中央銀行は莫大な引当金を支払わなければならないという危機に陥る。伊勢島ホテルの担当となった半沢が、伊勢島ホテルの建て直しや背後に隠された真相の究明に奮闘するというもの。

物語中では一般には聞き慣れない金融関係の業界用語が多用されているが、物語を理解する上で重要な用語には分かりやすい解説がなされるので、特に心配する必要はないと思われる。

そんなことよりも、自らの仕事に信念を持ち、上司からの圧力に媚びることなく強い行動力で道を切り開いていく半沢の様子に心が躍る。それぞれの真相が明らかになっていく様子や後半部の逆転劇では、食い入る様に読んでしまった。また、銀行と言う組織社会の中での各人物の焦りや葛藤に関する描写も良かった。全体的に、率直に言って非常に面白かったと思う。

ただ、どちらの作品も大筋の展開は同じであるが、所々ドラマとは異なるところがあり、ドラマを先に見ていた場合、それらに対する感じ方が分かれるかもしれない。例えば、半沢の妻・花はドラマの様な完璧な良き理解者と言うわけでもないし、半沢も行動に少しあっさりした印象がある等、ドラマと比較すると落ち着いた描写が多いなと感じた。ただ、これを丁度良いレベルのリアリティと感じるか、肩透かしと捉えるかは多分好き嫌いの問題になると思われた。

【感想】 三匹のおっさん 

三匹のおっさん (文春文庫)三匹のおっさん (文春文庫)
(2012/03/09)
有川 浩

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[著者]
有川 浩


[ひとこと]
ご近所スケールで描かれる小気味よさ


[あらすじ]
定年を迎えて一念発起した剣道の達人・キヨ、
元居酒屋の亭主である柔道の達人・シゲ、
一人娘を溺愛する町工場経営者で機械いじりの達人・ノリ。

還暦を迎えたかつての悪ガキ3人組が、
私設自警団「三匹のおっさん」を結成する。

そして、孫と娘の高校生コンビの力を借りながら、
詐欺や痴漢など、近所にはびこる悪を斬っていく。




以下、内容に触れています。




[感想]
(1) 還暦を迎えた三人のおっさん達が自警団を結成し、身近な場所で起こる問題をテンポ良く解決する。取り扱われる問題は、消費者詐欺や痴漢など、誰もが経験するというわけではないが、現実的なスケールでイメージしやすい事件ばかり。文章も読みやすく、6 つの物語から構成されるおっさん達の活劇が非常に小気味良い。おっさん達の活躍を追うだけでもテンションが上がるかもしれない。


(2) おっさん達が悪を斬るということだったが、年長者による無駄に説教くさい部分が描かれるわけではなく、大人と子供、双方の視点や感じ方を、どちらも適度に大切にした上で描かれるキャラクター同士の距離感が上手かった。押し付けがましくない優しさ・温かさという表現をしたくなる。キャラクターが押し付けがましかったりして、しつこさに不快感を感じることはなかった。このあたりも小気味よさに影響しているのではと思った。


(3) 中にはすっきり終わってハッピーエンドという結末にはならないものもあり、悩み込むことはなくとも、少々考えさせられるテーマもあり。ただ、章ごとに物語が変わるというところで、必要以上に重くなることはなく、気軽に読むことができた。


(4) 何気ない気分転換には非常に良い。気軽に読むには、あっさりしてて、面白い作品だったと思いました。

【感想】 永遠の 0 

永遠の0 (講談社文庫)永遠の0 (講談社文庫)
(2009/07/15)
百田 尚樹


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[著者]
百田尚樹



[ひとこと]
思考停止しなかったある男の一つの決断



[あらすじ]
「娘に会うまでは死ねない、妻との約束を守るために」

そう言い続けた男は、なぜ自ら零戦に乗り命を落としたのか。
終戦から60年目の夏、健太郎は死んだ祖父の生涯を調べていた。
天才だが臆病者。想像と違う人物像に戸惑いつつも、1つの謎が浮かんでくる。

記憶の断片が揃う時、明らかになる真実とは。




以下、内容に触れています。




[感想]
(1)ブラウザゲーム 艦隊これくしょん に影響され、かつ映画化により現在話題になっていることから、永遠の 0 に手を出してみました。いかにもミーハーな動機。私は政治や軍事に疎く、本書で描かれている内容について正誤を判断する知識はないと考えますが、感じ考えたことを書きたいと思う。

人としてのあり方について『組織に殉じるという思考停止ではなく、自分で考えて、それに責任を持つこと』。戦争を描写した物語ですが、今も昔も大切なのはそこなのかなーと思った。


(2)司法試験に失敗し続けている青年と、ジャーナリストである彼の姉が、第二次世界大戦末期に特攻で亡くなったという祖父について調査するという物語。主人公らが、生前の祖父を知るという元軍人の方々に聞き取りを行い、祖父の人格を知り、戦争の実態を学んでいく。そして『家族のために生き残る、と言っていた祖父がなぜ特攻に志願したのか』という謎とその理由が浮かび上がってくる。


(3)真珠湾攻撃から終戦まで、転戦するエースパイロット祖父・宮部久蔵に対する周囲の評判を軸に、海軍とゼロ戦の戦いも分かりやすく描かれていた。ゼロ戦の戦いぶりの描写は非常に緻密で、軍事初心者に対する戦記ものとしても楽しめるのではないかと。


(4)聞き取りは現場サイドの人間からなされており、戦中における現場の実情や、現場の兵の考え、(描写内容が事実だと仮定して)軍上層部やマスコミの無責任さが描かれている。それらの情報は非常に胸を打つ内容であった。とりわけ、軍上層部とマスコミに対する描写は、聞き取りという形態をとってはいるが、ここが作者の意見なのかなと思った。現場から遠い、ある程度の地位にいる人間が、思考停止して組織や多数派に従う(自分では責任を取りたくない)ということで、振り回される現場サイド。マスコミ等多数派に簡単に扇動される民衆など。

(作中では、上層部でありながら現場を想った少数派の指揮官たちが結構持ち上げられています)


(5)聞き取りを受けて、少々直情的な考えを持ってしまう主人公の姉が、自分ではない何かに簡単に影響されるという、人の良くないところを表しているようでもあると感じた。


(6)転戦により精神的、肉体的に追い詰められながらも、自分の意思や他者(部下)への責任を持とうとし続けた宮部。彼の最後の選択は、非常に考えされられるものであった。確かに、物語中の聞き取りでも宮部という人間について様々な意見(印象)が出るように、一方向からでは彼の行動の動機や良し悪しは推し量れない。


(7)ただ、戦争という舞台を採ってはいるが戦争に限らず、何一つ正解の無い中で、逃げず悩みぬき、組織ではなく人間に殉じた男の物語であったと思う。それを綺麗なものととるかエゴととるかは人次第だと思うが、私は尊いものだと思った。


【感想】 桐島、部活やめるってよ 

桐島、部活やめるってよ (集英社文庫)桐島、部活やめるってよ (集英社文庫)
(2012/04/20)
朝井 リョウ

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[著者]
朝井リョウ


[ひとこと]
俺、あのとき、実はこんなこと考えてたんだぜ!



以下、内容に触れています。




[感想]
あの楽しさ、あの切なさ、あの悲しさ、あの寂しさ、あの恥ずかしさ、あの惨めさ、あのもどかしさ。
その全てが生々しく思い出される。

言葉足らずから、そして何より、何よりも恐れから誰にも伝えきれなかった無限の想い。
青春という名の、10 代限定の、そして 17 歳には重過ぎるストレス。
でも、その先にあるのはヒカリであって欲しい。



男子バレーボール部のキャプテンだった桐島が部活をやめることをきっかけに、同級生 5 人の日常に些細な変化が起こる。タイトルロールである桐島は、作品中では伝聞という形でしか登場せず、桐島の周囲で桐島に直接的・間接的に関わっていた同級生達の心情・心理を非常に丁寧に描いた作品。


形式はオムニバス形式の群像劇で、作品全体として大きな流れがあるわけではなく、特別変なイベントがあるわけでもなく、同級生 5 人がそれぞれ 5 編の物語の主人公となり、どんな悩みを抱え、周囲にどのような想いを持ち、どのように自分なりに考えを持って行動するかが描かれる。あくまで普通の学園ドラマである。


また、ある編の主人公が他の主人公の編に風景の一部や会話の断片、ちょっとした絡みとして登場することがあるが、他の主人公の感情・意図は一切分からず、あくまでそのシナリオの主人公の視点から拾われた切なく、けれども可能性にあふれた非常にリアルな高校生の日常(青春の 1 ページ)描いている。



さて、内面の描写という点に関して、ここまで素晴らしい作品もそうそうないと思う。特に、風景描写を登場人物の微妙な内面の動きとリンクさせることが上手い。あらゆる外的要因(光、音、風、他人の声)を駆使して、主人公達それぞれの(主に)悩みを描いている。簡単に心をえぐってくれる。



主人公達は普通の高校生と同様に、部活、恋愛、家庭、友人関係などさまざまな悩みを抱えているが、共通して主人公達を縛っている物はスクールカーストである。


格好よくて運動もできる男子の人気者のグループ、
可愛くて明るい女子の人気者のグループ、
あまり目立たないダサい(と一般的に形容される)グループ。


主人公達はそれぞれのグループから選ばれており、
クラス内でのグループの立ち位置、グループ内での自分(主人公達)の立ち位置からくる悩み、他のグループに対する感情もリアルに描かれている。



本当にそれぞれの視点というのが上手く非常に面白い。
そして、一つの一つの編から浮き上がる主人公達、友人達・彼氏彼女達のキャラクター性の完成度がマジで半端ない。
高校生だった頃の自分達を見ているような気になる。



以下、夏冬達樹さんのツイート。
夏冬達樹は映画版をご覧になっているので、
小説版を読んだ私とはバックグラウンドが違うため、
意図が違う可能性がありますが、ご参考まで。








だから、なんていうか、下のツイートに完全同意できる。






【感想】 塗仏の宴 宴の始末 

塗仏の宴 宴の始末 (講談社ノベルス)塗仏の宴 宴の始末 (講談社ノベルス)
(1998/09/17)
京極 夏彦

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[著者]
京極夏彦


[ひとこと]
まさしくこれが、百鬼夜行


[あらすじ]
関口巽は殺人容疑で逮捕。
榎木津礼二郎と木場修太郎は行方不明。
中禅寺敦子は何者かに連れ去られてしまう。

そんな中、京極堂の指示で事件のキーパーソンらを集めるべく、
青木文蔵、鳥口守彦、益田龍一の三人は静岡県韮山に足を運ぶ。

しかし時既に遅く、成仙道、韓流気道会、太斗風水塾、華仙姑処女、藍童子、尾国誠一らが続々と韮山に集結し、さらには地元警察も巻き込んで大乱闘を繰り広げていた。

そんな中、京極堂もまた川島新造らを伴って韮山へと向かう。

消滅した村、戸人村。
そこに数千年前から居るという不老不死のくんほう様とは一体何者か。
村人五十人鏖殺事件は本当にあったのか。

様々な謎が解きほぐされ、ついに姿を現した黒幕、「ゲーム判定者(ジャッジ)」と京極堂の戦いが始まる。




以下、内容に触れています。




[感想]
登場に次ぐ、登場。
これまでの百鬼夜行シリーズの主要メンバー、ゲストメンバーが次々と物語に関与し、
過去の事件にも触れながら進行する物語。

塗仏の宴以前の百鬼夜行シリーズの作品全てがまるで一つの物語であるかのような、
そして、それまでの作品がすべて複線であったかのような錯覚をしてしまう。

謎解きが楽しめるのはもちろん、
これまで百鬼夜行シリーズを楽しんできた読者にとっては、
過去作品のキャラクターが登場するたびにテンションが上がること間違いなし。

謎解きのヒントは本末転倒。
描くテーマは家族という概念。

姑獲鳥
魍魎
狂骨
鉄鼠
絡新婦

そして、塗仏。
さて、何一つ不思議のない宴の始末に行きましょうか。


初めて情で動く京極堂をお楽しみに。


[メモ]
*以下、ネタバレ

● 下巻登場人物

・村上貫一(むらかみかんいち)
静岡県警下田署の刑事。
愛称は「カンさん」。
村上兵吉の兄。


・村上美代子(むらかみみよこ)
貫一の妻。
息子が行方不明になったことで「成仙道」に入信してしまう。


・村上隆之(むらかみたかゆき)
貫一と美代子の義理の息子。


・村上福一(むらかみふくいち)
貫一と兵吉の父。


・有馬汎(ありまわたる)
静岡県警下田署の刑事。
階級は警部補。
愛称は「ボンさん」。
刑事課の中ではかなり高齢。


・緒崎(おざき)
静岡県警下田署の刑事。愛称は「ザキさん」。関口の取り調べをする。


・太田(おおた)
・下山(したやま)
・戸ヶ崎(とがさき)
・武居(たけい)

静岡県警下田署の刑事。


・西野(にしの)
静岡県警下田署の警官。
刑事課ではない。


・山辺(やまべ)
有馬の友人で、貫一の住居と職を世話してくれた恩人。


・河原崎松藏(かわらざきまつぞう)
警視庁目黒署捜査二課の刑事。
岩川の部下だった。
三木春子を独自に保護する。


・保田作治(やすださくじ)
木場の妹の夫(木場の義弟)。
公務員。


・保田百合子(やすだゆりこ)
木場の妹で作治の妻。
「みちのおしえ修身会」にのめり込んでいる。


・木場徳太郎(きばとくたろう)
木場の父。
三ヶ月前に脳溢血で倒れ、一命は取り留めたものの、右半身に麻痺が残ってしまう。


・木場の母親
徳太郎の不幸の原因を風水に求め、太斗風水塾にすがろうとするが、
相手にされなかった。
今は華仙姑処女を探してお金をつぎ込む。


・留(とめ)
木場石材店で働く男性。
先代から勤めている。
木場を修ッ公(しっこう)、百合子を百合坊(ゆりぼう)と呼ぶ。


・韓大人(かんたいじん)
気功武術団体「韓流気道会」会長。


・黒川玉枝(くろかわたまえ)
内藤赳夫の内縁の妻。
久遠寺医院の看護婦をしていた。


・司喜久男(つかさきくお)
上野界隈に顔の利くちんぴら風の男。
黒川の手助けをする。
榎木津や木場の知り合い。


・福(ふく)
通称、「駱駝の先生」。
司の親分格。かつて画家だったらしい。


・木村よね子(きむらよねこ)
加藤家家政婦。
本人は自分を加藤只二郎の妻だと錯覚している。


・小沢(おざわ)
清水の不動産屋、桑田組の構成員。
南雲正陽の依頼を受け、韮山にやって来た。


・曹方士(そうほうし)
新興宗教「成仙道」の教祖。
不気味な仮面を着けている。


・小畠祐吉(おばたゆうきち)
かつての戸人村の住人。


・久能政五郎(くのうまさごろう)

かつての戸人村の住人。


・久能シゲ(くのうしげ)
かつての戸人村の住人。
政五郎の妻。


・八瀬重慶(やせしげよし)
かつての戸人村の住人。




● キーパーソン一覧
続柄は布由を基準

曹方士(佐伯甲兵衛):祖父
成仙道+刑部昭二

磐田純陽(岩田(佐伯)壬兵衛):大叔父
みちの教え修身会

韓大人(佐伯癸之介):父
韓流気道会+岩井崇

張果老(佐伯玄蔵):壬兵衛の子
条山房+宮田耀一

彩賀笙(藍童子)の母(佐伯初音):母
死亡、尾国誠一に匿われる。

東野鉄男(佐伯乙松):叔父
徐福研究会+羽田隆三の財力

南雲正陽(佐伯亥之介):長男
太斗風水塾+津村信吾

華仙姑処女(佐伯布由):長女(妹)
華仙姑処女+尾国誠一

(佐伯甚八):玄蔵の子
死亡、初音に殺される



誰が一番先に GHQ の閉鎖解放後に佐伯家に到着できるかという堂島大佐(中禅寺の元上司)のゲーム。

不老不死の薬を調査していた旧日本帝国軍が不老不死の秘密があると考えられる『くんほう様』の調査をしたいがために、戸人村の住民全員を催眠により撤去させる計画を実行。
→山辺は誰も負傷させたくなかったため

しかし、計画は上手くいかず、事件(甚八、初音関連)が発生。

強制的に薬物を使用して、村人全員をせん妄状態にして移送開始。
→山辺の案

そこに津村辰藏が来る。→辰藏は憲兵に連行される。

佐伯家の人々は、それぞれが自分以外を皆殺しにしたと錯覚させられる。

戦後、堂島のゲーム開始。
山辺は閑職へ。


以上

【感想】 塗仏の宴 宴の支度 

塗仏の宴 宴の支度 (講談社ノベルス)塗仏の宴 宴の支度 (講談社ノベルス)
(1998/03/27)
京極 夏彦

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[著者]
京極夏彦



[ひとこと]
600 ページ強、上下 2 段のページ構成。
今はその結末が気になって仕方がない。



[あらすじ]
昭和二十八年春。

小説家、関口巽の許に奇怪な取材依頼が齎された。

伊豆山中の集落が住人ごとに忽然と消え失せたのだからという。

調査に赴いた関口に郷土史家を名乗る和装の男が嘯く。


世の中には不思議でないものなどないのです


男が現出させたこの世ならざる怪異。

六つの妖怪の物語で、宴の支度は整い、その結末は始末にて明らかとなる。




以下、内容に触れています。




[感想]

あまりに情報量が多く、
物語が完結していないため、
本記事は簡単なまとめに留めます。
また、情報の多くを wikipedia より引用しています。


(1) ぬっぺっぽう
関口巽は妹尾友典の紹介で元警察官の光保公平と出会い、
韮山にかつて存在したという戸人村 (へびとむら) の調査を依頼される。

光保によればかつてそこで駐在を務めていたが、
戦後戻って来てみるとその村は存在そのものが抹消されていた。

関口は地元の警官・淵脇と、道中で出会った流浪の物書き・堂島静軒と共に、韮山を訪れる。


【登場人物】
・ 光保公平(みつやすこうへい)
静岡県警に所属していた元警察官。
のっぺらぼうに似ているとよく周囲から言われるらしく、
彼自身も執拗に拘っている。現在は室内装飾業を営む。


・ 津村辰藏(つむらたつぞう)
巡回研師。
戸人村の住人が消えていることに気付き通報するが、
その後憲兵に連行され行方不明となり一年後、廃人同然となって戻ってきて、その一月後に自殺した。


・ 佐伯癸之介(さえききのすけ)
光保が戸人村に駐在していた頃の佐伯家 (最も大きいお屋敷) 当主。


・ 佐伯初音(さえきはつね)
癸之介の妻。


・ 佐伯甲兵衛(さえきこうべえ)
癸之介の父。


・ 佐伯亥之介(さえきいのすけ)
癸之介の息子。


・ 佐伯布由(さえきふゆ)
癸之介の娘。


・ 佐伯乙松(さえきおとまつ)
癸之介の弟。


・ 佐伯玄蔵(さえきげんぞう)
佐伯家の分家筋。
戸人村唯一の医者(漢方医)。


・ 佐伯甚八(さえきじんぱち)
玄蔵の息子。
本家で暮らしているが、分家筋ということで使用人のように扱われている。


・ 岩田壬兵衛(いわたじんべえ)
玄蔵の父。
佐伯家を勘当されたが度々村に戻ってきてはトラブルを起こしていた。


・ 淵脇(ふちわき)
静岡県警の駐在所に勤務する警官。
階級は巡査。
熊本県出身。


・ 堂島静軒(どうじませいけん)
郷土史家を自称する謎の男。
『この世には不思議でないものなどない』という京極堂のような言葉をよく口にする。
しかし、その意味は京極堂とは正反対のようだ。


・ 熊田有吉(くまだゆうきち)
かつて戸人村があったとされる場所に住んでいる老人。



(2) うわん
一柳朱美 (狂骨の夢より) は神奈川を離れ、
静岡に身を移して暮らしていた。

ある日、村上兵吉と名乗る男の自殺現場に出くわし、
彼を救って介抱する。

彼はある過去の事情から『薬売り』に対して恐怖を抱いていた。

同じ頃、隣人の松嶋ナツの下には成仙道 (せいせんどう) という新興宗教の勧誘が毎日のように来ていた。

騒ぎを聞きつけた朱美が少し外へ出てナツと話している最中、村上が再び自殺を図る。


【登場人物】
・ 村上兵吉(むらかみへいきち)
首吊り自殺を図ろうとしたところを朱美に助けられる。
螺子工場を経営していたが倒産したという。
「みちの教え修身会」に入会している。


・ 松嶋ナツ(まつしまなつ)
朱美の隣人。
童女のような顔立ちをしているが子持ちで非常に気が強い。
「成仙道」を毛嫌いしている。


・ 尾国誠一(おぐにせいいち)
ベテランの置き薬商人。
朱美達夫婦に何かと手を貸していた。
後の章で、ある人物に催眠術(後催眠)をかけている疑いが掛けられている。
また、華仙姑処女(かせんこおとめ)と関係のある様子も分かる。


・ 刑部昭二(おさかべしょうじ)
成仙道の人間でナツをしつこく勧誘する。

(3) ひょうすべ
関口巽は京極堂の同業で先輩でもある宮村香奈男と知り合う。

彼は知り合いの加藤麻美子という女性が祖父のことである悩みを抱えていることを京極堂に相談に来ていた。

麻美子の祖父は最近怪しげな新興宗教のような団体に気触れ、
財産を注ぎ込んでおり、彼女は祖父をその団体から脱退させたいのだという。

しかし、彼女もまた華仙姑処女という謎の占い師に心酔し、多額の寄付をしていた。


【登場人物】
・ 宮村香奈男(みやむらかなお)
川崎で古書店「薫紫亭」営む京極堂の同業者。


・ 加藤麻美子(かとうまみこ)
宮村の知人で、去年まで「小説創造」の編集者をしていた。

祖父の様子がおかしいことを宮村を介して京極堂に相談した。
彼女もまた華仙姑処女という謎の占い師に心酔している。

尾国誠一に催眠術を掛けられており、癇癪玉の音がすると、体が痙攣する。
そのせいでわが子を殺してしまったが、催眠術を掛けられたことに気付いていなかった。

また、催眠術のせいで、磐田純陽を良くないもの(妖怪:ひょうすべ)と認識している。


・ 加藤只二郎(かとうただじろう)
麻美子の祖父。
「みちの教え修身会」に入会して以来、様子が変わった。
磐田純陽とは旧知の間柄。


・ 磐田純陽(いわたじゅんよう)
「みちの教え修身会」会長。
加藤麻美子からひょうすべと言われている。

みちの教え修身会とは、人の生き方、自分の不幸の種などについて話合う講習会のようなもの。


(4) わいら
中禅寺敦子は韓流気道会という道場の取材を行い、
それに関する記事を掲載した。

本人は好意的に書いたつもりの記事だったが、
韓流気道会から大反発を買い、
門下生らに付け狙われることになってしまう。

そんな中、敦子は華仙姑処女と名乗る女と知り合う。

彼女もまた韓流気道会に狙われているのだという。

二人で必死に逃げるが、人気のない路地に追い込まれ絶体絶命に。

そこに榎木津礼二郎が現れる。


【登場人物】
・ 華仙姑処女(かせんこおとめ)
必ず当たるという世間で評判の謎の女占い師。
本人は占いを生業にしているつもりは無く、占いをするとその通りになってしまうとのこと。

その正体は、佐伯布由。
15 年前に村人を全員殺した過去があると言っているが果たして。
また、榎木津はクラゲが見え、『欠けていない』そうである。

尾国誠一に占い業務を斡旋されているが、催眠術の効果で、本人は尾国に会っているとは全く認識していない。
華仙姑処女が信じていた尾国の死亡時期は 15 年前。
しかし、実際は 10 年ほど前から会っている。


・ 宮田耀一(みやたよういち)
三軒茶屋にある条山房という漢方薬局で働く。
暴行を受けた敦子を介抱する。


・ 岩井崇(いわいたかし)
韓流気道会の師範代。
敦子の取材にも対応した。
記事の腹いせに敦子を襲おうとする。


(5) しょうけら
木場修太郎は行き付けの酒場「猫目洞」の女主人である竹宮潤子から三木春子という女性を紹介される。
彼女は工藤信夫という男からストーカーの被害を受けており、
困っているという。

相談に乗ることにした木場が詳細を尋ねると、
毎週、工藤から春子宛てに手紙が送られてきており、
そこには春子の一週間の行動が綿密に書き記されているという。

春子の部屋を調査するも、覗き見が不可能であることが分かっただけだった。


【登場人物】
・ 張果老(ちょうかろう)
条山房の漢方薬調剤師。
老齢だが武道の達人であり、
韓流気道会の門下生を複数同時に相手にしても軽くあしらい、
師範代の岩井すら軽く捻じ伏せるほどである。

通称、通玄(つうげん)。

長寿延命甲講という庚申講のメイン人物。
生活指導をしており、その通りに生活しないと体調が良くならないといい、高価な薬を売りつけている。実際は催眠術により、生活指導の通りに生活が送れないように参加者達をコントロールしている。


・ 藍童子(らんどうじ)
照魔の術を使うという謎の少年。
その力を使い警察に捜査協力をしている。


・ 三木春子(みつきはるこ)

お潤の知り合い。
ストーカーの被害に遭っていることを木場に相談する。
人一倍記憶力がいい。


・ 工藤信夫(くどうのぶお)

春子をストーカーしている男。
木場が訪ねていった日に窃盗罪で逮捕された。


・ 岩川真司(いわかわしんじ)
警視庁目黒署刑事部捜査二課に所属する刑事。
階級は警部補。
木場の所轄時代の同僚。

(6) おとろし
織作茜は織作家の遠縁と名乗る羽田隆三という男と、
織作家の家や土地に関する商談を行っていた。

羽田は言い値で家や土地を買い取る代わりに、
自分の部下になるようにと迫ってきていた。

そんな中、羽田は部下に静岡県韮山の辺鄙な土地を買うように迫られ疑念を抱き、
榎木津礼二郎に調査を依頼しようとしたがすっぽかされ、
代わりに茜と秘書の津村信吾を韮山に行かせる。


【登場人物】
・ 羽田隆三(はたりゅうぞう)
羽田製鐵取締役顧問。
茜の祖父の実弟にあたる。

徐福が (秦氏の子孫とされる) 羽田家のルーツと考えており、
「徐福研究会」の発起人でもある。

現在は所謂会長の立場。


・ 羽田桝太郎(はたますたろう)
隆三の父。
羽田製鐵創始者。


・ 津村信吾(つむらしんご)
隆三の第一秘書。
実直な性格で隆三の信頼度も高い。

巡回砥師・津村辰藏の息子。
昭和 9 年夏に佐伯家で東野鉄男を見ている。
昭和 13 年に惨劇。
そのせいで父親が死んだ。
惨劇から 15 年経過しており、時効間近。

東野鉄男の尻尾を掴むため、羽田隆三に取り入った。
韮山の土地を欲しがっており、調査することで何か分かるかもと考えている。


・ 多々良勝五郎(たたらかつごろう)
京極堂の友人で自称妖怪研究家。
妖怪の話で京極堂と互角に渡り合えるほど妖怪に詳しい。
かつて殺人事件に巻き込まれた際に京極堂に助けてもらったらしい。
多田克己がモデルとなっている人物。


・ 南雲正陽(なぐもせいよう)
羽田製鐵経営コンサルタント。
「太斗風水塾」というところで風水をしており、経営方針などを風水で決めている。
津村信吾によると経歴詐称をしている。

羽田製鉄の現社長に、本社家屋を韮山のある土地に移そうと進言する。


・ 東野鉄男(ひがしのてつお)
「徐福研究会」の世話役。
実際には研究所の運営も任されている。
津村信吾によると経歴詐称をしている。

羽田隆三に、研究所を韮山のある土地にしようと進言する。



・ 堂島の存在とは?

・ 駿河富士(富士山)と下田富士の関係とは?本当に適したコノハナノサクヤヒメとイワナガヒメ像の奉納場所とは?烏帽子山・雲見浅間神社との関連性とは?

・ 各種団体の意図や団体同士の関連性とは?

・ 15 年前に起きたへびと村の事件と織作茜殺害事件との関連は?

・ 佐伯家の奥にあるものの正体とは?

・ 織作茜殺害事件の真犯人とは?

・ 昭和 28 年時点で存在しないへびと村の正体とは?

・ 東野、南雲が欲しがっている韮山のある土地とは、佐伯家のことである。では、その理由は?

・ なぜ、へびと村が GHQ の管理下におかれていた(可能性がある)のか?


下巻も楽しみです。
理解できるか非常に不安ですが。


【感想】 Another (下) 

Another(下) (角川文庫)Another(下) (角川文庫)
(2011/11/25)
綾辻 行人

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[著者]
綾辻行人


[カバーイラスト]
遠田志帆


[ひとこと]
学園ホラーとミステリの融合
そして、青春時代における少年の精神的成長も。


設定はホラーなのに本格ミステリのような伏線回収。

論理的とは言えない、超自然的に発生する現象をあなたはどこまで受容できるか。

さらには少年少女、特に主人公の心理描写をどこまで感じられるか。

多分私は綾辻行人の敷居を広げる一作に、呪われたに違いない。



[あらすじ]
不思議な少女・見崎鳴とともに謎を追う恒一。
奇妙な二人だけの孤独と自由を過ごす中で、恒一と鳴、二人の距離は徐々に縮まっていく。

第二図書室の司書・千曳の協力を得つつ、現象の謎を探りはじめるが、核心に迫れないまま現象は続いてゆく。

そして夏休み、運命のクラス合宿で彼らを待ち受ける真実とは!? 




以下、内容に触れています。




[感想]
Another 完結 !!



上巻で散りばめられていた何気ない違和感が伏線として回収される展開は非常に良かった。さすが本格ミステリ作家というところでしょうか。ホラー要素がメインの作品ではありますが、ミステリ作品における真犯人探しのような要素もあり、それが非常に上手くて楽しめた。

上手いこと著者の誘導に掛けられたような気がします。<反転>見崎鳴が怪しいと疑って上巻の前半を読み終えた時には、すでに書き手に騙されていたわけですね。</ 反転>完全に盲点でした。

最も重要な伏線に関しては、正しい見方を知るまで、読み手は違和感の数々を物語の判断材料としてではなく、違和感としてしか持ち得なかった。それを演出できる綾辻行人はミステリ作家として本当に凄いんだろう。彼の作品は、まだ本作しか読んでいませんが、これは館シリーズも期待できる。



しかし、あくまで学園ホラー。三年三組の怪現象が何故起きているのか、どうしてそのようなことになっているのか、という点に関しては『起きているのだから仕方ない』というスタンスで完結。トリックのように明確な原因があったり、現象を起こしている真犯人が要るわけではありませんでしたね。

そのため、単純なミステリーとしてではなく、あくまでメインはホラーものだと思って読んでみると面白いと思う。同氏の館シリーズのように事件の推理を楽しみたい人は注意。



一方、少年少女の心理描写が青春小説のように感じられもする。

徐々に親しくなる恒一と鳴は、恋愛とは違うかもしれないが大切な関係を築けたようにも見える。

また、恒一自身もこの理不尽な現象を通じて成長したようにも感じられる(<反転>母親と母親に似た叔母との死別を受け止めるという点です。死者として叔母が出てきたということは、恒一が母親や叔母の死を割り切れてなかったのではないかということの表れだと考えずにはいられない。それを殺したということは、死別に対して向き合ったのではと思う</ 反転>)



物語を構成するジャンル的な要素。メインはホラー、そしてミステリ、学園、青春。何か一つを(特に本格ミステリ)期待して、個別の要素から作品を見ると物足りなかったりするけれど、複数のジャンルが融合したような作品と捉えると、非常に楽しめると思う。

綾辻行人のミステリ(館シリーズ)入門書とは違うけれど、綾辻行人が力のある作家と認識され、読者達に他の作品も面白いんじゃないかと思わせる『とっかかり』としても非常に良い作品ではないでしょうか。


特化型の作品のようなツボへのハマリ方はなかったですが、非常に面白かったです。色々と楽しめました。そういう意味では、この作品のマーケティング的な意図に完全にハマったんですかね(笑)

【感想】 Another (上) 

Another(上) (角川文庫)Another(上) (角川文庫)
(2011/11/25)
綾辻 行人

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[著者]
綾辻行人


[カバーイラスト]
遠田志帆


[ひとこと]
学園を舞台にしたホラーだが、その伏線の張り方に何かやらかしてくれそうな印象を受けずにはいられない。


何が起きているのか。
そして、それが何故起きているのか。



[あらすじ]
家庭の事情から夜見山北中学三年三組に転校してきた榊原恒一は、何かに怯えているようなクラスの雰囲気に違和感を覚える。しかし、新しくできた友人達も言葉を濁すばかりで、真実を教えてはくれない。

一方、同級生で一際不思議な存在感を放つ少女・見崎鳴に惹かれ、接触を試みる恒一だが、謎はいっそう深まるばかり。また、26 年前の夜見山北中学三年三組に起きたという“ミサキ”に関する不思議な事件を耳にして――

そんな中、中間試験期間のある日、クラス委員長の桜木が凄惨な死を遂げたのであった。




以下、内容に触れています。




[感想]
綾辻行人と言えば、本格ミステリの館シリーズが有名ですが、こちらはホラー色が強い一作。舞台が中学校ということで、学園ホラーということでしょうか。

中学生を主人公とし、彼の語り口で物語が展開されるため、単語の意味や言い回しが簡単で非常に読みやすかったです。ボリュームはあるのに軽い読み口が非常に魅力的。辞書等を使用せずサクサク読み進めることが出来ましたね。

一方、伏線は多そうな雰囲気。
下巻でしっかり騙されるためには意識して記憶しておく必要がありそう。

ホラーでありながらミステリのようですが、どこか引っかかる描写や設定が多く、そこに気は向くものの、全体像は未だ見えない。どこまで回収されるかは、まだまだ未知の部分がありますが、伏線の張り方は上手いのではないでしょうか。根底から騙される可能性を期待している。

主人公・恒一が好奇心から、また夜見山北中学三年三組で感じる違和感の正体を知ろうと、見崎鳴に関して次々と行動を起こしていくことで、展開していく物語。上巻では、三年三組の事件とは何か、過去に何があったのか、何故起きているかまでが回収される。超自然的な事件ではありますが、それらがどのように終結するのか。下巻を楽しみにしたいですね。

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