えばーずらいん

時よ止まれ 君は誰よりも美しいから
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【感想 レビュー】殻ノ少女 

Innocent Grey premium box「PARANOIA(パラノイア)」 通常版Innocent Grey premium box「PARANOIA(パラノイア)」 通常版
(2013/06/14)
Windows

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[注意]
本作には体験版があり、製品版には含まれない前日談が描写されています。
本編プレイ前に、体験版をオフィシャルサイトよりダウンロードし、
プレイされることをお勧めします。



[ソフトハウス]
Innocent Grey



[シナリオライター]
鈴鹿美弥



[原画]
杉菜水姫



[CG 統括]
珈琲貴族



[ひとこと]
そしてパラノイアはプレイヤーへ



[あらすじ]
昭和三十一年、三月。
敗戦から十年が過ぎ、在りし日の姿を取り戻しつつある街、東京。私立探偵の時坂玲人は、井の頭公園にて、一人の少女から変わった依頼を受ける。

『捜して欲しいんだ。―――私を。本当の、ね』

同時期、巷では奇妙な猟奇犯罪が多発していた。少女ばかりが誘拐され、身体の一部と子宮を切除して殺される。警視庁捜査課の魚住夾三は、昔馴染みで元同僚の時坂に事件の調査を依頼する。

保谷町の端にある、私立櫻羽女学院。時坂の妹・紫が通う此処で、女学生が二人行方不明となっていた。学院の教頭の佐伯時生は、紫の兄である時坂に捜査を依頼する。
時坂は三つの依頼を同時に受けた。

しかし、犠牲者は増えてゆく。簡単に思われた女学生の捜査すら儘ならぬ事態。行方不明者と身元不明者の遺体の数が合わない。

そして、新たな犠牲者に選ばれたのは―――






以下、内容に触れています。






[シナリオ]
(1) 猟奇犯罪が描写されるミステリー作品。プレイヤーは主人公の探偵視点で事件を追う。単純にテキストを読むだけでなく、自らの選択により証拠やヒントを集め、それらを基にプレイヤー自身で推理を行う。大筋の流れは固定で、集めた情報の数や種類によって推理の成功 or 失敗が決まり、辿り着くエンディングが異なる。


(2) ミステリーとして、人物の背景部分の絡み合いが非常に面白かった。30 名以上というエロゲではオーバースペックと感じてしまう位の数の登場人物が複雑に絡み合い、事件を織り成していく。必要でないと感じられる登場人物は居らず、全員(加害者、被害者、メインキャラクター、サブキャラクターなどの差はあるが)が事件に関わり合う。非常に緻密で『真犯人は誰か?』という情報にまとわり付いた数々の事件、背景、人間模様の関わり合いが非常に面白い。


(3) 本作は京極夏彦 作 百鬼夜行シリーズの 2 作目『魍魎の匣』、5 作目『絡新婦の理』オマージュと感じられた。実際に、作中の雰囲気、登場人物の役割、事件の流れ、非常に多くの要素が似通っている。『もともと監督の杉菜水姫氏が「京極夏彦っぽいのを作りたい」と言っていた』という情報もネット上で散見される。


(4) 作品の基本としては、京極夏彦が百鬼夜行シリーズで描かれている憑物落とし(人々の過剰な認識、妄執や偏執の絡み合いによって起こった事件を解体すること)に似て、人々を偏執(パラノイア)から開放することと感じた。ただ、京極氏の作品とは異なり、少女(おそらく二十歳に満たない印象を受ける)の内面(の葛藤のようなもの)を非常に丁寧に描写していたと思う。冬子が求めた殻からの開放というテーマは京極作品には見られなかった部分であったと思う。また、エロゲという特性上、推理システムによるゲーム性や絵・音楽による受ける印象の強さ(分かりやすさ?)もあり、小説である京極作品とは違う楽しみ方ができた。単純に『京極作品のパクリ』と断じて批判してしまうのは、もったいないくらい面白かったと思う。


(5) 世界観の完成度は至高とも言えるレベル。後述もするが、シナリオ、音楽、絵全ての要素が、非常に上手く相乗効果をなし、殻ノ少女という舞台を作り上げていた。ぐいぐい引き込まれて、美しさに見惚れた。


(6) さて、補足として、攻略の難易度は非常に高いと感じた。選択肢が多く、しかも選択肢を見ただけではどのような情報が集まるか (推理パート;結末に関与) が予測不可能。しかし、BAD エンドにもシーンや CG があるため回収せざるを得ない。正直、私は BAD 回収は攻略サイト見ました。



[ルート感想]
ルートと言う概念はほとんど存在しない。もちろん集めた情報やヒロインの好感度により、結末は異なるが、大筋は変わらないし、トゥルーを除きヒロインの固有性に焦点が絞られたエンディングはなかった。



[絵]
● CG 枚数:101 枚(差分なし)

猟奇的で残酷な絵であっても、どこか美しい。(グロテスクさゆえ)見るに耐えない絵でありながら、不快感を感じない綺麗さがあった。私の表現が稚拙ゆえ、美しいとしか表現できないが、作品の雰囲気に非常に合った良い絵が豊富だったと思った。



[音楽]
● テーマソング:瑠璃の鳥(Vocal 霜月はるか)

絵と同様の感想である。起動後のメイン画面で流れる『殻ノ少女』、主人公宅で流れる『Lilac』、喫茶店で流れる『月世界』、本当に挙げればキリが無いが、どの音楽も非常に作風に合った美しいものであった。



[演出]
オープニングムービーに相当するものがないのは残念だった。PV (公式サイトでダウンロードできる)は非常に出来が良かったので、これを本編中に入れて欲しいと思った。



[システム、その他]
シナリオを読み進める ADV パート以外に、自ら集めた証拠を基に事件を解決へと導く推理パートがあることが特徴。自分が選んだ選択肢、向かった場所によって集まる証拠が異なる。自分で情報を整理して少しずつ理解する、少しずつ相関図や人物情報などを集める、という行為のため、自然とプレイに集中でき、非常に楽しめた。

ただ、どこに向かえばどの証拠が集まるのかという情報が全くない場合も多く、結果としてシナリオ感想の(6)に書いたように難易度は非常に高かった印象を受けた。

あとは、選択肢の多さの割にセーブが少ない印象を受けた。推理パートでマウスホイールによるバックログが効かなくなる(メニューを一々開く必要がある)。テーマソング(歌あり)を回想モード聴けるようにして欲しい。などを感じた。



[総合感想]
芸術品の様な美しさがある世界観、多くの登場人物が織り成す緻密なミステリ要素、そしてエロゲならではの少女が抱く葛藤が非常に面白かった。何度も言うが、京極夏彦の一ファンである私からしても、本作を『京極のパクリ』と断じてプレイしないのは勿体無いと思う位面白かった(正直、京極のパクリで面白み無く終わる可能性は不安だった)。

続編である虚ノ少女では、さらにパラノイアが連鎖するのか、何かの結末が見れるのか期待が高まる。京極作品ではあえてボカされた結末を、しっかりと描くことで差別化を図るのか、また違う面白さが見えるのか、それとも京極的な結末を良しとする次回作なのか。

いずれにしても、続編が非常に楽しみである。
私は本当にこの作品に引き込まれてしまった。


パラノイアは、もしかして、私に。


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