えばーずらいん

時よ止まれ 君は誰よりも美しいから
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【感想 レビュー】 家族計画 ~絆箱~  

kazokukeikaku_01.jpg


[ソフトハウス]
D.O.


[シナリオライター]
山田一


[絵師]
福永ユミ


[作品へのひとこと]
出会いが人を強くする。
この作品はそれを教えてくれた。

そして、この一瞬に家族や仲間がいることの幸せを感じずにはいられない。

(意訳:マジ泣ける)



[あらすじ]
主人公・司が拾った中華系の女の子、春花。

彼女と二人で生活を始めた矢先に押しかけてきた謎の男、寛。

いつの間にやらアパートを追い出され、更に流浪の少女末莉と、自殺未遂の女性、真澄を従えた一行。

そして、一軒の暖かそうな古い一戸建てを見つける。

その家の所有権を主張する青葉と、司のかつての同級生、準を加えて、寛の提案する「家族計画」がいよいよ始動する!





以下、内容に触れています。
ネタバレ多数。





[シナリオ]
この物語は家族愛をテーマとしているわけではないと思う。



と言ったら、攻略された方はどのように感じるだろうか。



本作品は 7 人の、いわゆる他人であったはずの社会的弱者が集まり、
擬似家族を形成することで本格的なスタートを迎える。


最初はギクシャクしていた彼ら彼女らも徐々に打ち解ける。
テキストは一文一文が短く、非常にテンポが良い (読みやすい)。
司と寛のボケツッコミの掛け合いに代表される、非常に面白いコメディシーン (時代遅れなものが多いが)。
そして、自身の心情を素直に伝え合う、夜の屋根の上での会話もある。


最初は家族計画を突っぱねていた主人公・司も、徐々に今の関係に馴染むようになる。
(直接的な描写なしで、これを感じさせるのも本作品の良いところ)


このままゴールを向かえれば。
幸せいっぱいのハッピーエンドを迎えただろう。
本当の家族になれたかもしれない。
それはそれは美しい家族愛が描けていただろう。



そう。
実際はそうならないのだ。



個々人が抱えた根の深い問題を持ち、ふとしたことから軋轢も生じる。
あまりにも脆く、今にも崩れそうな擬似家族の様子も描かれる。

最終的には、あるトラブルにより、どのルートにおいても家族計画は破綻するのである。

もしかすると、手放しのハッピーエンドを描くことをできたかもしれない。
でも、それは逃げのように感じられないだろうか。

他人が集まって、お互いの利益から擬似家族を形成する以上、どうあがいても終着する点は『家族に近づいた仲間』というところまでだろう。それ以上の展開があればそれは単なる幻想に過ぎないと考えられる。



家族というのは非常に難しいものなのである。



しかし



彼ら彼女らは大切な仲間を得ることができたのだ。

互いの存在を許し合えたのだ。

社会に爪弾きにされた 7 人が、高屋敷という舞台で必死に生きた。
家族愛とは呼べない、でも静かに細々とであるが長く続く信頼関係を得ることができた。

ルートによって差はあるものの再び集合する仲間達
人生の辛く、厳しい時期を、共に乗り越えた経験がそうさせるのだろう。
それは、戦友と呼んでも差し支えないほどの関係。
そこにあるのは、苦楽を共にした仲間でしか持ち得ない懐かしさ。


本作品はほのぼのした家族愛を描いてはくれない。

でも、私達が家族や仲間について考えるきっかけは与えてくれるかもしれない。




[ルート感想、キャラクター]
人の性格は環境によって作られる。
過去の積み重ねが行動指針や考え方となり、パーソナリティとなって現れるのだ。

それをまず強調しておきたい。


● 高屋敷 春花 (CV:佐々留美子)
ごめんね。私・・・司を利用しようとしてた


いつも笑顔な天真爛漫っ娘。


人は誰しも誰かに依存し、誰かを利用して生きていく。
生き別れの母親に合うために、単身で不法入国を果たした春花。
知らない言語、知らない人々。
彼女の不安がどれほどのものか、それは想像に難くない。

人が人を利用するなんて当たり前。
春花の立場であればもっと当たり前。

そんな当たり前を意識できるのは、真に優しい心の持ち主しか無理なのだろう。

しかし、その笑顔の下の涙を見ることができるのは彼女のルートだけなんだぜ。捜索の甲斐あって母親は発見できるわけですが、そのエピソードがなんともいえない感動ですよね。ご都合主義じゃないし。いいまとめ方だと思いました。

あと、このルートで高屋敷家を取り囲む、あるトラブルの黒幕が判明しますが、私は最初にプレイしても大丈夫だと思う。泣きポイントとはそれほど関連性ないもんね。



● 高屋敷 末莉 (CV:片瀬唯)
ぜんぜん親子になれなかったんですけど、わたしは……そばにいてくれるだけで嬉しかった


家族計画で唯一、純粋に家族愛を求める人物。


『いらん子』であることを極端に恐れ、自身の限界まで走り続ける茉莉。
そこには過去に両親の気まぐれで与えられた愛情があった。
そして、悲しい別れと辛い日々があった。

褒めてほしかった。
認めてほしかった。
幸せでありたかった。

強迫観念に動かされ、自分を認めてくれる何かを求め続ける。
裏切られてもなお、人を信頼し、家族を求め続ける。
本当に力強く叫び続ける、自分の居場所。
その強さは、かつて司、青葉が捨ててきた。
けれど、欲しくてたまらなかったものに違いない。




● 高屋敷 準 (CV:杉沢淳子)
こんなわたしに接してくれてありがとう


冷たい壁の裏側にある、あまりにも真っ直ぐな自己犠牲。


料理を食べれず、固形栄養剤のみを口にする準。
その背景にあるのは本当に悲しく辛い過去。
シビアに金銭を求める準。
しかし、彼女の背負ってきたものはあまりにも大きく、人間としてか弱い彼女には本当に苦しい戦いであったに違いない。
それでも、彼女は単身戦ってきた。
大切なものを護るため。


しかし、それがある過ちを引き起こしてしまう。
そして、高屋敷を去る準。


本当は手を伸ばしたかった。
本当は何よりも大切だった。
自分の求めていたものはここにあるんだって。
それに気づくのは、過ちを起こしてしまった後。


そんな準に春花は伝える。
『全部、許すね』と。


やっと彼女は理解する。
高屋敷の仲間達はこんな自分を受け入れてくれる存在だと。
自分の体は他者を受け入れられるようになったんだと。


そして、もっと生きたいと。





● 高屋敷 青葉 (CV:北都南)
脳にランブル鞭毛虫でも湧いてるんじゃないの?
司、生きなさい。あなたが得損なった愛情を……私が全て注いであげるから


あまりにも気高い純粋、過去の求道者


政略結婚を強いられ、人として扱われなかった青葉。
幼少期に辛い経験をしたのは茉莉と同じ。
しかし、それは茉莉とは全くの逆のベクトル。
そう、過干渉であった。

自分を手に入れるためには、周りを切り離すしかない。
青葉は自分へ干渉するものすべてを振り切り、無茶苦茶に振り回すことで自由を得た。
他者への当たりの強さ、自分勝手に見える行動はこれが原因だったのである。

なぜ、他者からの干渉を強く嫌悪するのか。
なぜ、青葉が末莉に辛く当たるのか。

それは、祖父との思い出が大切だから。
なにより一途に、純粋に大切に思っているから。

自分が求めてもなお、ずっと得られなかったもの。
裏切られてなお他者を信じる茉莉は、青葉にとってあまりに魅力的過ぎた。
直感的に、青葉は自分が末莉を好きになることを予見していたのだ。

現在と未来には関心がないという彼女。
大好きだった祖父との思い出を求め、高屋敷の危機にもかかわらず探し物を続ける毎日。


やがて、幼いかった青葉の日記から明らかになる祖父との関係の真実 (この辺りでシナリオが二転三転しますが、そのまとめ方が非常に上手い)。そして、共にこの真実と向き合ってくれた、真実を見つけ出してくれた司に心を許すようになる。そして、司もまた自分の過去の真実に気づくことになる。

青葉のだれよりも一本気で、不器用で、純粋な想い。
それは本当に綺麗な彼女らしさ。

そして、他者を遠ざけてきた 2 人だけど、今なら言える。

『絆が、出来ました』

彼らの想いは、彼らの子供達にも受け継がれていくのだろう。

末永く、幸せになってほしい。





● 高屋敷 真純 (CV:MIWAKO)
死ななくて、良かったな、わたし


他者と共にいることで真価を発揮する母性。


家族という単位のなかで、掛け値なしに子を想い、見返りを求めず家事を引き受ける存在がいる。


家族計画初期、真純は進んで家事を行い、全員分の食事を用意した。
それに惹かれ、青葉、司、準といった家族計画に乗り気でないメンバーも食卓に集まるようになる。


また、司のふとした邪な発想に気づいていながら、母の形見であった 300 万円を司に託す。
過去に結婚詐欺に合いながら、他者に笑って金銭を託せるであろうか。


全てを理解していながら全てを許せる、全てを温かく包めるのは全世界で母親だけなのである。


真純の『個別』ルートは泣けない。
それは私も実感した。


でも、考えてほしい。
彼女の安心感に高屋敷家全員が救われたのではないだろうか (他者を完全に排除する、あの青葉が『彼女の料理が好きだった』と告白するシーンあり)


そう、いうなれば、共通ルートおよび他キャラルートも真純ルートではないだろうか。




[CG、原画、演出]
●CG枚数:84 枚
CG は本当に少なめです。
『ここに CG あればなー』と感じるところが多く、残念なポイントでした。

あと、(特に) CG 中の人物で崩れているところが多く、感動が薄れたりもありました。
シナリオで十分楽しめるのですが、小説ではないので絵も重要なポイントだと思います。


[サウンド、ムービー]
●主題歌:『同じ空の下で』KOTOKO
●ED:『philosophy』MOMO


リピート止まらなくなるよ。
歌詞見ると色々想像できるよ。
想像するともきゅもきゅするよ。




[総合感想]
家族という非常に難しいテーマに対して真っ向勝負を挑んだ一作。

2001 年初出の作品ということで画像、演出面に物足りなさはありますが、シナリオは本当に良い。



描写が鋭く、かつ非常に丁寧でグイグイ引き込まれましたね。

非常にダークかつ扱いにくいテーマだらけなのに真っ向勝負で書かれてましたが、いいタイミングでコメディが挟まれていて陰鬱にならなかったのも良かったですね。まぁ、読んでいて辛いのは変わりませんが。

また、登場人物のキャラクター設定が良かったですね。良いキャラということではなく、シナリオを読めば人物の性格が納得できるということです。『この環境で育ったならこういう考え方になって、こういうときにこういう行動をとるんだな、だからこういう発言は仕方ないな』という感じ。クセのある人物ばかりなのにフルコンプした後は全員を許容できるようになるから不思議。

とにかく、考えれば考えるほどキャラクター、シナリオの本質に近づけるので、正直レビュー書いてる時はかなり辛かったです。ホント、考えれば考えるほどキリがないし、バッドエンドじゃないのに心に何かが残ってるような、刺さっているような感覚が今も消えなくて非常に困ってます。


本当にプレイして良かった。
そう思える作品でした。




ちなみに、以上全ての文章を総括して有体に言うと『マジで泣けた』になります


щ(゚Д゚щ) 長いよ!!щ(゚Д゚щ)


山村正子の独り言
すごいですね!
[ 2012/11/29 12:59 ] [ 編集 ]
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