えばーずらいん

時よ止まれ 君は誰よりも美しいから
2017 04123456789101112131415161718192021222324252627282930312017 06

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] コメント(-) | トラックバック(-) | スポンサー広告

【感想 レビュー】 黄昏のシンセミア It is the one that the person must not touch that it is beyond this. 

あっぷりけコレクションあっぷりけコレクション
(2012/12/14)
Windows

商品詳細を見る


[ソフトハウス]
bn_ap.gif



[シナリオライター]
桐月



[原画]
オダワラハコネ



[ひとこと]
人は様々な繋がりの中で生きていく。

それゆえに、良いことばかりが起こるわけではない。

目を背けたいこともあったかもしれない。

知りたくもなかったと叫びたくなるかもしれない。

それでも、それは―――




[あらすじ]
山に囲まれた風光明媚な御奈神村。
天女の羽衣伝説が残る、大きな神社を中心にしたのどかな場所である。

大学生の皆神孝介は、夏休みを利用して母の故郷であるこの村を訪れた。
長らく離れていたこの村で、孝介には少女達との再会、そして新しい出会いが待っていた。

友人のような妹・皆神さくや、
疎遠になっていた従姉妹の少女・岩永翔子、
幼馴染で神社の巫女・春日いろは、
村で出会った謎の女性・銀子。

彼女たちとの再会、出会いをきっかけに、孝介は徐々に居場所をつくっていく。

しかし、孝介達に遅い来る異変が、穏やかな日常を壊していく。

数々の真実の前に、彼らが行った決断とは。






以下、内容に触れています。






[シナリオ]
主人公皆神孝介が村に帰郷し、懐かしい場所で出会いや再会を体験する。そして、彼女たちと様々な問題に向き合いながら、絆を深めていくこと、そして、受け継がれた絆あることを認識することが基本路線。

和風伝奇の雰囲気漂う作品ですが、あくまで舞台づくりの意図が強く、奇抜な展開のない王道的な恋愛をメインに据えた印象。

ただし、伝奇風味が退屈対策としても良い機能を果たしていたことは言うまでもない。



人の絆云々は私の国語能力の関係で上手く言葉にできませんが、そうとう上手く描いていた印象。

当該ルートのヒロインと仲良くなるだけではなく、その他メインヒロインとの関係、サブヒロインとの関係、過去から受け継がれた絆、過去に影響を受ける主人公達など。非常に丁寧に描かれていましたね。

後述します心情描写の丁寧さによるところも大きいのですが、なんでもないところでグッと来ることもありましたね。さらに、過去現在を受けて新しい絆を作っていく的な描写がもう堪らない。



さて、ある日異変である山童に遭遇するまでがプロローグ。

その後、山童、天女伝説、皆神家の謎、孝介・さくや・母親のさやにまつわる過去の事件などを、
共通ルートおよび各個別ルートで(伏線の張りや回収を各ルートで重複させながら)明らかとしていくのが基本展開。


さくや、翔子、いろは、銀子がメインヒロインであり、彼女たちのルートにおいて、孝介達は村に関する種々の謎に巻き込まれ、向き合っていくこととなる。非常にボリュームのあるルート。

一方、沙智子、朱音、美里はサブヒロインの位置づけであり、ファンサービスの一環としてルートは存在するものの、恋愛描写(+ H シーン)のみの短いものだった。


大まかな流れはこんな感じ。



さて、見上げた空におちていく (以下、みあそら) で顕在だった、シナリオライター桐月さんの王道的な上手さは、今回も十二分に発揮されていた。

起承転結、(主人公の)論理展開、心情描写、キャラクター付け、伏線回収率など、物語の基本的な部分の質が非常に高い。


(1) 起承転結がしっかりしていることは、フローチャートを見ても明らか。問題提起 (山童との遭遇) があり、それを承り (銀子に話を聞きつつ山童調査)、一回息抜きして (川遊びシーンや日常シーン)、物語を終結させる (ヒロインに関する問題、新たな謎)。さらに、それらを総合して、過去編 (フラグメント「降臨~であい~」、「帰郷~わかれ~」、「呪言~ことほぎ~」、「胎動~はじまり~」) およびトゥルーエンド (シンセミア) にもっていくわけですが、そこそこ全体の尺が長いわりに物語のテンポがめちゃくちゃになってないので、ストレスを感じなくて良かった。これは (2) によるところも大きいと考えれますが。


(2) 主人公の論理展開、登場人物の心情描写、キャラクター付けですが、これらは本当に上手い。たまに鳥肌がたったこともあった。彼ら彼女らが、なぜそのような性格なのか、なぜそう考えるのか、なぜそう感じるのか、なぜそう行動するのか、その出来事で登場人物の気持ちはどう変化していったのか。それらの原因と結果が、ルート、シーンを跨ぎつつも、焦ることなく着実に丁寧に、さりげなさを伴って描写されている。そして、それらの描写がさらに物語の展開を盛り上げている。

上記のことは伏線回収の上手さにも関わってきますが、銀子の飄々とした性格の理由、いろはが友人から恋人になる過程 (仲良くなったからこそ悩みを打ち明けられる)、さくやの好きな駄菓子の件、翔子の主人公やさくやに対する複雑な気持ち、翔子と沙智子と主人公のプリクラの件などなど。例はいくらでも挙げれます。

本当にずるい。

こんなさりげなく、丁寧に登場人物の気持ち書かれたら、登場人物を、そして桐月さんを好きになるしか選択肢は残っていない。


(3) 伏線ですが、舞台背景や設定が多いのにも関わらず、丁寧に回収されていた。王道恋愛がメインとはいえ、伝奇的な設定を投げるわけではなく、しっかり活かしていたと思う。青い石、赤い石の件は多少想像やご都合で補完するしかない部分もあったけど、それはそういうものとすれば十分だと思います。まぁ、石の設定は整理するのに多少労力使いましたが。


総合的には、超展開や奇抜さによる派手さではなく、人の絆を描いた純愛として温かい良いシナリオだった。


ただ、描写のさりげなさ・尺の長さなどから、心情描写や登場人物の行動理由などを楽しめるプレイヤーでないと退屈すると推察できた。

文章は、(演出の強化もあり) 以前までの桐月作品 (みあそら、コンチェ) と比較して分かりやすいそうですが、流し読みではもったいない。




[ルート感想、登場人物]
● 皆神孝介
本作主人公。
大学生ということもあり、そこそこに大人で、そこそこに未熟な面もあり、バランスが取れていて好感が持てた。
行動力、思考力共に、一般人的な主人公の中では高レベルで、身長体重も理想的。
ただのイケメン変態紳士。

皐月 BAD エンドがイケメンすぎてアレ(マテ



● 皆神さくや (CV:平山紗弥)
主人公の魔妹。
完全なる皆神(パーフェクトおっぱい)。

言葉では言い表せない絶妙な兄との距離感が非常に良かった。
ぜひとも蛆虫を見るような目をして欲しいものだ(ゲス顔
そして、トゥルーの駄菓子の件で号泣したアカウントはこちら。

この兄妹の自然さは不味いだろう。
絶対社内にリアルシスコンいるだろう。
実妹いないとこの距離感はだせないぞ。
いそうでいなかった絶妙な距離感。
ええぃ、シンセミアの妹は化け物か。


さて、私の好みとして、実妹ルートは背徳感満載で天地がひっくり返っても妹を選ぶ位の覚悟を見せて欲しいのですが、さくやルートにはそれがなかった。

しかし、主人公自身が実妹と結ばれることに最初は覚悟がないことを自覚していること、実妹を妹と見続ける選択肢がゲーム中に用意されていること、非常に絶妙な兄妹仲であること、そして主人公の周囲が手放しに祝福してるわけではないことを丁寧に描写しているので、『この二人なら恋愛もそれほど悪いことじゃない。まぁ仕方ないな』とプレイヤーに思わせたあたりが良かったのではないかと思う。実妹をメイン中のメインに据えるという冒険をしながら、万人受けするように実妹を描写したあたり、私の価値観とは異なるものの、ライターなりの上手さがあったのではと思う



● 岩永翔子 (CV:夏野こおり)
主人公の従姉妹。
皐月の娘。

ジャコスいくの!?
髪をおろしたバージョンは正義。
どちらかというと成長後のほうが好み。

幼さゆえの感情のアンバランスさが絶妙。
妙に確りしたところや、子供っぽい、どこかわがままなところ、やきもちを焼くところがバランスよく描けている。
自分の気持ちを少しずつ整理したり、色々なことを経験しながら成長していく様子は本当に良かった。



● 春日いろは (CV:青山ゆかり)
主人公の幼馴染。
神社の娘。

彼女のルートだけメインヒロイン中で伝奇要素に触れる部分が極端に少ないですが(山童探索の時も直に会っていない)、それが彼女の脚本レベルでの人間としての役割だったからではないかと考えたりもする。

人間ながら天女の舞を担当する責任の重さってのも想像できたし、ラストで初代さくやが写ったのにも重みがあった。過去の事件があってもなお、なんとか折り合いをつけようとする『いろは』の生き方は、弱い人間なりの強さを代表したものではないとか思ったりもした。


自分なりの宗教観、価値観を語る場面があるが、それが行動基準になってて納得できた。
どの登場人物もそうで、上述もしてますが、本当にキャラクター付けが上手くて、愛着がわく。

あと、どのルートでもそうだけど、特に親密になってからの悩みを共有する描写が上手い(いろはルートでは過去話、村の問題点など)。

あとあと、さくやルートでいろはが色々心配して泣いたりするところで、ぐっときたのは内緒だぜ。



● 銀子 (CV:芹園みや)
正体不明の謎の美女。
飄々とした態度、思わせぶりなセリフの数々。
しかし、その正体を掴ませようとはしない。

では、なぜ彼女はそのような物言いをするのだろうか?
親密なようで、どこか距離を置いたような行動をとるのだろうか?

彼女の性格、言動。
それらには確固とした理由付けがある。

誰も助けることができなかった過去があった。
願っても叶えられなかった未来があった。
だからこそ、今を求めなかった。

それでも彼女は戦った。

もう一度問う。
彼女はなぜ笑うのか。
彼女はなぜ主人公達を助けてくれるのか。
彼女はなぜ時々寂しそうな表情をするのか。

他人を引きつけ、なおも壁を持つ銀子。

それが取り払われたとき、私はその可愛さに発狂せずにはいられなかった。

そして、彼女の想いを識ったなら、他ルートでも彼女が気になって仕方ない。

シンセミアの影の主人公は間違いなく彼女だと思う。
トゥルーラストで彼女が流した涙。
そこに込められた想い、数々の苦労を少しでも共感してあげて欲しい。

どうかこの瞬間に言わせて欲しい。
彼女はかけがえのない大昔からの家族だから。

銀子、本当にお疲れ様。




● 岩永皐月 (CV:柚木かなめ)
翔子の母。
孝介とさくやの叔母。

ルートがない理由は近親ネタがさくやと被るからだそうですが、
そのために冷静な第三者視点役ができたのではと推察。

孝介とさくやの仲に対して短絡的に同意しない一連の反応なんかは、妹属性のない、または薄いプレイヤーに、必要以上に嫌悪感を抱かせない効果も発揮したのではないかと予想。



● 南戸朱音 (CV:芹沢せいら)
癒しの巫女さん。
こんな女性に彼氏いないとかねぇよ。
結婚してください(マテ
寂しがりやの心理がよく描けてて可愛い。



● 稲垣美里 (CV:有栖川みや美)
近所のお姉ちゃん兼先生。

主人公に言ったセリフを主人公が思い出したり、それらのセリフもいくつかは、さや(昔の美里の先生)から受け継いだものだったりする描写は本当に良かった。

シンセミアのジャンルにもなっている絆を受け継ぐ純愛 ADV が、こういうところにも、ちゃんと表現されていて好印象。言葉の伝播って本当に卑怯だよね。



● 高見沙智子 (CV:青葉りんご)
テンプレどおりのツンデレ。
実は超良い子。

メインヒロインではないということで、核心に近づかないあたりが翔子とは異なりますが、普通に良い話だったのでアレ。まさか泣かされたアカウントはこちら。



● 皆神さや (CV:不明)
一言だけ。
手紙は卑怯!



● ごんた
シンセミアルートでのごんたに惚れた。
この動物になら掘られても良い(マテ

ごんたをとりまく一連の出来事はどれも良い味だしてますね。
さくやに突っ込んでいくのとか。



[絵]
● CG 枚数:120 枚 (差分含まず)

立ち絵、背景、デフォルメ絵などなど非常に良くなってますね。
背景は本当に綺麗になった。

河川の感じ、木々の感じ、空の感じ、アニメーション様の美麗さとは違うけれど、確実に細かく丁寧なつくりになっていることが分かる (みあそら比較)。

さやファッションのさくやが大正義すぎて、俺はもう。

殺気をこめたさくや、またはいろはの CG とかよく用意してくれた。




[音楽]
● 主題歌:夏のファンタジア (佐藤ひろ美)
● 挿入歌 1 :夏のファンタジア アカペラver (佐藤ひろ美)
● 挿入歌 2 :Long for… (瀬名)
● ED:想いの果て (tohko)



BGM かなり良いと思うけどな。

『一つ石』の雰囲気の出し方が秀逸すぎて危険。
完全に前の場面を切り離して、シリアス方向に転換できる。
あの一曲の物語への貢献度が高すぎてアレ。


主題歌の夏のファンタジアがトゥルーの入り口で流れた瞬間使いまわしかと思いきや、2 番というオチ。
歌詞の変わり方とか、色々と卑怯(褒め言葉)。


挿入歌 2 の Long for… が流れた瞬間駄目でした。
気付いたら泣いてました。はい。




[演出]
みあそらと比較して大幅にパワーアップ!

流石に最近の作品では一般的ですが、背景 CG の一箇所だけに焦点を絞り拡大してみたり、立ち絵に動きつけてみたり、立ち絵のサイズ違いもちゃんと用意されていたり、テキストと相乗効果があり、非常に楽しめました。

CG の種類の多さ、背景画像のレベルアップも視覚的な演出面で役に立った感。

コメディ的なシーンでしっかり笑えたのも、視覚的演出面が成長していたためかと(みあそら比較)。


BGM と SE 重ね方が良い。

単純に BGM だけを垂れ流すのではなく、虫の鳴き声、風の音といった自然音を重ねることで、雰囲気を出していた。場面によっては、虫の鳴き声だけ残す演出もあり、非常に良い印象。


テキストと相乗効果が発揮されていて非常に好印象

シリアスシーンもそうだけど、ドタバタコメディでも光るよね。

演出の良さってさ。




[システム、その他]
フローチャートシステム+フラグメントシステムが便利すぎる。


シーンの頭だし、フローのオートセーブ、付箋付け、主人公視点での当該シーンの要約付き、カーソルを合わせるだけでオートプレイなど、攻略だけでなく物語の復習で非常に役に立つ機能が満載。

フローが分岐した瞬間に知らせてくれるからシーン回収しやすい。

フラグメントもフローに埋め込まれてるから、時系列的にいつの話か理解しやすい。

などなど。


フラグメントシステムは、みあそらとは異なり、新規フラグメントは NEW マークが付くという親切な設計。

私が不満に思ったところだったけれど、改善されてて嬉しい気持ち。


みあそら、コンチェ (2013 年 3 月現在、未攻略)、シンセミアと同じチームで開発してきたからこそ、対応できたユーザー要望。

本当にユーザーのために頑張ってくれるメーカーだなと思った。




[独り言]
山童って河童(カッパ)が山に入った妖怪なんだってね。
河童の発祥は九州だけど、関西まで拡散してるから、シンセミアの聖地を特定するのは難しいのかもね(ぇ




[総合感想]
それは、黄昏のシンセミア
(人が折り合いをつけるべき過去)



さすが、萌ゲーアワード金賞受賞作品でしょうか。

シナリオ、演出、音楽、絵といった各部門のクオリティが高く、それらがしっかりと相乗効果を発揮して、非常に面白い作品になっていました。コアなファン向けというよりは、多くのユーザーに受け入れられる作品というところでしょうか。


シンセミアは強力な麻薬の名称ということで、人の心を惑わす、人が触れてはいけないものとされていますが、初代さくやを否定することまではできないんじゃないかなーと。

確かに彼女の行動は褒められるものではないけどさ。

彼と彼女らは、様々な過去があったことを知り、なんとか理解しようとその上を一歩ずつ歩き、折り合いをつけながら、新たな絆を紡いでいくわけで。

人の絆を受け継ぐ ADV ということで、過去をイメージしがちですが、『これからも彼女と歩いていく』的な未来志向を十分に伝えてくれた作品だったと思う。

人から受け継いだ絆を否定するわけではありませんが、過去に固執するわけではなく、過去という地盤を歩き、現在の絆を紡ぎ、未来に伝えていく。

良いことばかりではない。

けれど、自分には自分の力となる数多くの絆がある。

だからこそ、人は弱くても哀しくはない。

そんなことを考えた。

コメントの投稿はこちらです













管理者にだけ表示を許可する
― Main Contents ―
― Information ―


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。